TPP交渉の流れ
日本がTPPへの参加方針を決めたのは2013年で、2年後の2015年10月、12ヶ国の間で大筋合意に達しました。
TPPの理念には各国が賛同しながらも、どの商品の関税をどのように撤廃するかを具体的に決める交渉がなかなか進みませんでした。
日本は、TPPによって輸出を増やし、アベノミクス経済を促進するための起爆剤とするつもりでした。TPPが実施されれば、日本のGDP(国内総生産)は約3.2兆円も増加すると試算されています。
他方、安い農産品が今以上に海外から輸入されることになり、値段の高い国産の農産品は売れなくなってしまう恐れがあります。
そこで日本政府は、「米・小麦・乳製品・砂糖・牛豚肉」の5品目の関税は撤廃しないことをTPP参加の条件にして、日本の農産業を守ろうとしていました。
しかし、農産品をもっと日本に輸出したいアメリカから「日本の聖域の数が多すぎる」と非難され、関税を大幅に引き下げる譲歩をせざるを得なくなりました。
アメリカはアメリカで、自国の自動車産業を守るために自動車の関税の撤廃を拒否する一方、日本はアメリカへの自動車の輸出を増やしたいなどと利害が対立し、交渉が難航してしまいました。
大筋合意にあたり、日本は「米」、アメリカは「自動車」の関税は高いままと認めることで落ち着きました。
保護できなくなった日本の農産業への影響は懸念されますが、消費者目線に立つと輸入食品の価格が下がることはメリットとも考えられます。
一方、日本の輸出を支える工業製品については、貿易相手国となる11ヶ国全体で86.9%の品目で協定の発効後すぐに関税をなくします。
その後も少しずつ関税を引き下げ、最終的に99.9%の品目で関税を撤廃することになりました。
今後日本の輸出が増えることが期待されます。
アメリカの離脱と復帰

長期間にわたる交渉を経て、せっかく大筋合意にたどり着いたにもかかわらず、2017年にアメリカのトランプ大統領はTPPからの離脱を宣言しました。
アメリカ国民の雇用を守るとして、TPP離脱を選挙公約としていて、各国との2国間交渉でアメリカの貿易を進める強気の考えを表明していました。
TPPを発効するには、影響力の大きいアメリカの承認が欠かせず、TPP協定は実質的に無効となってしまいました。
ところが、2018年に入ってアメリカがTPPに復帰する可能性が出てきました。
TPPは元々、自由貿易を目指す各国が中国に対抗するための側面も併せ持っていました。
中国との対立が深まっていることを受け、トランプ大統領の貿易戦略を批判する声が国内で高まっていました。
また、農産品を輸出する農家は、アメリカがアジアとの貿易で不利な立場となることを懸念していました。
トランプ大統領は、「アメリカの要求が受け入れられる形」でのTPP復帰を検討するよう通商代表部のライトハイザー代表と国家経済会議のカドロー委員長に指示しました。
トランプ大統領は次のように発言しています。
・ツイッター投稿
「オバマ大統領時代よりも条件が大幅に良くなる場合に限って、TPPに復帰する。われわれはTPP加盟11ヶ国のうち6ヶ国と既に2国間協定で合意している。(TPP参加国の中で)最大の日本との合意に向け作業を進めている。日本は長年にわたって通商でわれわれに大きな打撃を与えている」
・CNBCテレビのインタビュー
「以前より大幅に改善した合意ができればTPPに参加する。以前の合意はひどいものだった」
各国の反発が予想され、再び交渉に時間がかかることが予想されます。
まとめ
トランプ大統領はいきなりちゃぶ台をひっくり返しておきながら、都合のいいことを言っているように見えてしまいますね。
アメリカは日本が聖域とした米の関税をさらに下げることや、アメリカの関税を一部復活することを主張すると考えられます。
TPPの交渉は振出しに戻ることになってしまいますね。
どのように着地点を見つけるのかが注目されます。
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