見どころは野党(民主党)の巻き返し!?
では、今回の中間選挙の見どころについて見ていきましょう。
まず、2018年6月の時点で、両院の議席数は以下のようになっています。
共和党(トランプ) | 民主党・その他 | 議 長 | |
上院 | 51議席 | 47議席
独立系2議席 |
オリン・ハッチ仮議長(共和党)
ペンス議長兼副大統領(共和党) |
下院 | 239議席 | 194議席 | ポール・ライアン議長(共和党。今季引退) |
実は、アメリカの議会選挙においては再選率がかなり高く、ここ30年ほどは上院下院とも約8割~8割以上の議員が再選するのが通常です。
まず、上院に注目してみましょう。
上院100議席のうち中間選挙で改選される33人で、内訳は共和党が8名、民主党とその他が25名となっています。
共和党は、上院で過半数を維持するためには、抜けた8名の再選に全力を掛けるでしょう。
その点、民主党系は25名も抜けてしまうので、やや不利な状況となっています。
では、全議席が改選される下院はどうでしょうか。
下院の中間選挙の結果が垣間見える現象が起こっています。
2017年9月26日、アラバマ州で行われた上院議員の補欠選挙において、トランプ大統領が推薦していたストレンジア元アラバマ州司法長官が、保守強硬派のムーア元同州最高裁判事に敗北してしまったのです。
両者とも共和党員ではありますが、トランプ大統領の推薦候補が敗れてしまったことで、共和党内が一枚岩でまとまっていないことがよくわかります。
トランプ大統領はしかたなくムーア氏の勝利を祝福し「打倒民主党!」と激励しましたが、結局、12月22日に行われたアラバマ州上院補欠選挙本番では、ロイ・ムーア氏が約65万票、民主党が推薦したダグ・ジョーンズ氏約67万票で民主党に敗北してしまったのです。
なんと、同州行われた上院選挙において民主党が共和党に勝利したのは実に25年ぶりのことでした。
さらに、2018年3月に行われたペンシルバニア州下院補欠選挙においても、共和党は民主党に敗北し、4月にお行われたアリゾナ州下院補欠選挙では僅差で辛勝したものの、かなり民主党に追い上げられました。
2年前の大統領選ではこれらの全ての州において共和党のトランプ氏が大勝していたにも関わらず、野党(民主党)候補が勝利するという逆現現象が起こっているのです。
こうしたことから、下院においても、共和党は過半数218議席を17議席上回っているものの、全く油断できないという見方が強くなっています。
2018年の中間選挙では、こうした民主党の巻き返しに注目です!
2018年!米国中間選挙の影響で、株価や為替はどう動く?
基本的に中間選挙前約半年5月~10月は、与党(共和党)が中間選挙を見据えた政策を打ち出す影響で相場が変動しやすいと言われています。
例えば、2017年年末に減税法案を押し通したり、2018年5月にイスラエルのアメリカ大使館をテルアビブの街から聖地エルサレムに移転させたり、米朝首脳会談で核廃絶をアピールしてみたり、などがそうです。
こうした中間選挙を見据えた政策は、議会での対立を生みやすいため、アメリカ政治に対する不透明感が強まりアメリカ株安につながります。
実際、2018年5月にはドルが下落し、過去何か月間の間に大幅上昇していた金融株も値を下げました。
中間選挙の結果によっては、「ねじれ議会」により法案審議が停滞することで、さらに米国株式は混迷を極める可能性もあります。
ただし、これまでの経験則からすると、こうしたアメリカの株安の影響は、日経平均株価やFX市場に直結するわけではないようです。
2018年10月~12月には、選挙結果がはっきりすることで政治への不透明感が払拭されると共に、もともと年末は株価が上がりやすいこともあり株価は再び上昇に転じる、といった前向きな予想を立てる人もいます。
しかしながら、100%未来を予測することは誰にもできないので、実際にどうなるかはフタを開けてみないとわかりません。
2018年11月6日中間選挙本番まで、アメリカ株や日本の為替市場の動向は注視して行きたいですね!