アメリカの予備選挙とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説!

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1789年、当初13州しかなかったアメリカ合衆国でジョージ・ワシントンが初代大統領に選ばれた時、投票権を持つ人は、国民全体の6%に過ぎませんでした。

「各政党から大統領候補を選ぶ権利」は、各政党の幹部会などに握られていたのです。

こうした状況は19世紀前半ごろまで続きましたが、「民意が選挙に反映されないことに不満を持つ有権者」と「より多くの票を得たい候補者」とのニーズがマッチし、徐々に選挙権のハードルは下がっていき、20世紀以降は新しい選挙制度が導入されてきました。

それが今日のアメリカの「予備選挙」に繋がっています。

予備選挙は、アメリカ全土の意見を短時間でまとめるための手段がなかった時代にできた制度なので、「現在は形骸化しているのでは」という声も聞こえますが、実際の所はどうなのでしょうか。

今回は、アメリカの伝統的な「予備選挙」の仕組みとそのメリットデメリットについて解説します。

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予備選挙は何のために行うの?

予備選挙の前に知っておきたい前提として、「アメリカ合衆国はかれこれ約160年間、民主党と共和党の二大政党制を続けている」という点が挙げられます。

そのため、大統領を決める際はもちろん連邦議会や州知事などの公職選挙において、民主党と共和党それぞれの公認候補者を決める必要があるのです。

つまり、予備選挙とは、有権者が大統領などの公職選挙において、事前に各政党の公認候補者を決めるための選挙のことなのです。

4年に1回行われる大統領選挙であれば、1月から6月にかけて多くの州は各党内で予備選挙を行い、各党公認候補者を決定していきます。

予備選挙の中には、地域の学校に党員が集まって話し合うような「党員集会」も含まれます。

ただし、有権者は、支持政党内の大統領候補者本人に直接投票しているわけではありません。

例えば、共和党代表としてドナルド・トランプを推薦したい場合は、「トランプ大統領を応援するよ!」と公言している「代議員」に投票するのです。

2016年の大統領選では、共和党内にはトランプ氏の他にも5名の候補者がいたので、全米で2472人いる共和党代議員を6人で取り合ったというわけです。

これがいわゆる「指名争い」です。

なお、民主党には「各州の代議員数は各候補者の獲得票数に応じて比例配分する」という全国ルールがあります。

一方、共和党にはそのようなルールはなく配分方法は州に委ねられていますが、だいたいの州は最も多くの票を集めた候補者がその州の代議員を総取りする「勝者独占方式」を適用しています。

代議員数は各州の人口に応じて割り当てられているため、カリフォルニア州やテキサス州、ニューヨーク州など代議員数の多い州の選挙結果は全体へ大きな影響を与えます。

そして、各州で選ばれた代議員たちは、最終的に7~8月に行われる各党の「全国党大会」で集結し、自らが推薦する候補者に改めて投票し、過半数を獲得した候補が正式な各党公認大統領候補として決定します。

ここまでの流れ全体をまとめて「予備選挙」と呼ぶこともあります。

予備選挙とは、有権者が代議員を通して、大統領候補者に想いを託すことができる大切な間接選挙とも言えるでしょう。

【参照動画】

アメリカ大統領選挙02 予備選とは

最大のメリットは一国民が国のリーダーを選べること

では、予備選挙のメリットについて見てみましょう。

予備選挙の唯一にして最大のメリットは、18歳以上で選挙登録さえしていれば、一国の大統領選びに一般国民が参加できるという点です。

大統領選ともなれば、何百万にものアメリカ国民が予備選挙に参加します。

2008年の大統領選予備選挙では、3600万人の民主党員と2100万人の共和党員が投票したそうです。

日本であれば、内閣総理大臣を決める際に一般国民が投票するような機会はありません

それに比べると、国民が代議員を選び、その代議員が大統領候補を選ぶという予備選挙のシステムは、国民が国のリーダー(大統領)を選んでいるといえるのではないでしょうか。

予備選挙はデメリットも多い!?

先ほど挙げたメリットで「選挙登録さえしていれば」と述べましたが、実はこれが意外とネックなのです。

アメリカには、日本のよう選挙権を得る年齢になれば自然と自治体に登録され、ハガキが送られてくる、というシステムはありません。

自ら選挙人名簿に自分の名前を載せるよう選挙管理委員会に申請しなくてはならず、引っ越しするたびに登録し直す必要もあり、選挙登録は非常に面倒なのです。

しかも、州によって手続きの方法はバラバラで、郵送やオンラインで受付してくれるところもあれば、直接訪れないといけない州もあります。

最近は違法登録が増えている影響で登録の際の本人確認も厳しくなっているそうです。

こうした影響もあり、選挙登録している国民は全体の半数程度に止まっています。

また、民主党か共和党のどちらかに所属していないと投票すらできない州があるのも難点です。

そうした州では「どちらも支持しない」という国民は、選挙に参加できず、成り行きを見守るしかないのです。

さらに、予備選挙は全米各地で開かれるため莫大な費用がかかりますが、それには投票権を持たない国民の税金も含まれている点も見過ごせません。

共和党の予備選挙にいたっては、せっかく貴重な一票を投じても僅差で負けてしまえばトップの候補者が代議員を総取りしてしまう「勝者独占方式」により、死に票が多くなってしまうのも問題です。

まとめ

予備選挙は、一国民が大統領や連邦議会議員などの公職者を自ら選択することができる貴重な間接選挙です。

二大政党制をとっているアメリカにおいて、民主党と共和党それぞれの代表候補者を州ごとに選出するシステムは、国民の総意をまとめているようにも見えます。

しかし、投票するためには面倒な選挙登録が必要で、党員資格がなければ投票権すら得られない州もあり、登録者数は約半数に止まっています。

また、莫大な選挙費用は投票権のない国民からも徴収されており、勝者総取り方式によって大量の死に票が出ることもあります。

こうした点を踏まえると、予備選挙は国民が政治参加できる素晴らしい機会ではあるものの、全ての国民の意思が反映されているとは言えない面もあると言えるでしょう。

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